街歩きとともに楽しむ芸術祭。「Re: Human ─ 新しい人間の条件」展へ
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- 9月1日
- 読了時間: 5分

大阪市中央区に位置する船場エリアは、豊臣秀吉の大阪城築城に合わせて誕生し、江戸時代には「天下の台所」として栄えた歴史ある町です。なにわ商人によって町人文化が育まれ、文芸や芸能など上方文化の中心でもあった場所です。戦後は繊維の街として発展し、現在も多くの商社や衣料関係の企業が本社を構えています。
船場センタービルをはじめとする商業施設やオフィス街が広がりながらも、歴史的価値のあるレトロな近代建築が数多く残されているのが特徴です。
大阪・船場と「Study:大阪関西国際芸術祭2025」
・船場エクセルビル
そんな船場にある船場エクセルビルで2022年から開催されているのが「Study:大阪関西国際芸術祭2025」です。
今年は万博会場である夢洲、天保山、梅田、西成、国立民族学博物館(吹田市)など大阪市内の各所に会場を設けて様々なテーマの展覧会やイベントを開催しています。

船場エクセルビルは1970年の大阪万博の前年に竣工しました。本町駅から徒歩5分、堺筋本町駅から徒歩8分、御堂筋にもほど近い立地です。
周りには賑わう商店街やユニークな雑貨店、カフェなども点在しています。芸術祭とともに楽しんでほしい街歩き情報も、記事の後半でご紹介します。
船場エクセルビルは「Study:大阪関西国際芸術祭」の初回から会場となっており、今回で4度目の芸術祭会場です。芸術祭が始まると、歴史を刻んできたオフィスビルが、現代美術を発信する拠点へと変貌します。
展覧会「Re: Human ─ 新しい人間の条件」

「これからの人間とは何か。変わるもの、変わらないものとは何か。そして未来の私たちはどうあるべきか。」──本展は1970年と2025年、ふたつの大阪万博をつなぐ時間軸の中で、人間らしさの可能性を探ります。
出展作家:シュウゾウ・アヅチ・ガリバー、𠮷田桃子*、金氏徹平、石原友明、川田知志、金サジ、畑祥雄+江夏正晃+江夏由洋、釜ヶ崎芸術大学キュレーター:岸本光大
*𠮷田桃子さんの展示は終了しました
■くわしくは「Study:大阪関西国際芸術祭」のホームページをご覧ください。
チケット情報はこちらhttps://osaka-kansai.art/pages/ticket
展示作品のご紹介
出展アーティストの中から、畑祥雄氏、江夏正晃氏、江夏由洋氏による作品をご紹介します。
奇跡の森 EXPO’70 - 生成AIによる映像 Ver.2(映像インスタレーション)
畑祥雄+江夏正晃+江夏由洋

展示空間
1970年の大阪万博の跡地に広がる「万博の森」。当初、ビジネスセンターが建設される予定だった土地は、急速な都市化と環境問題への社会的関心の高まりを背景に、わずか3か月で公園が作られることが決定しました。今では多くの昆虫や野鳥が観察される森へと変貌を遂げている場所です。
この映像インスタレーションは、畑祥雄の写真をもとに、音楽家・江夏正晃と映像作家・江夏由洋のコラボレーションによる、AIが予測した2070年の「未来の万博の森」の映像にオリジナルイマーシブ音楽・音響を合わせた作品です。
人工的につくられた森の未来の姿とは?時の流れとともに変容する森の姿を通して、「人間のより良い生き方とは何か」を問いかけます。
暗幕で区切られた空間に入ると、まず巨大なスクリーンに圧倒されます。
映像が始まるとスクリーンには、森の木々や草花、生き物たちの姿が映され、映像の美しさと色彩の鮮やかさに目を奪われます。イマーシブ音響による立体的な音楽に体が包まれる感覚によって、音楽は耳で聴くだけではなく、体すべてで感じることができると気付くことができます。
単に「映像を見る」「音楽を聴く」にはとどまらない没入感はまさに作品を「体験する」という新感覚の芸術体験でした。
ほかにも2階から6階までの各フロアで、絵画や彫刻、映像、写真など様々な作品を間近に体験することができます。
船場の街を歩いてみよう
展覧会のあとは、ぜひ船場の街を散策してみてください。
この街には、モダン建築が多く残されています。ここでは街歩きにおすすめの建築を紹介します。
・丼池繊維会館

船場エクセルビルから徒歩すぐの場所に丼池繊維会館があります。この建物は1922年(大正11年)に銀行として建てられました。当時はまだモダニズムの黎明期でしたが、斬新で新しいモダンな建築です。2016年にリノベーションが行われ、長らくサイディングに覆われて見えなかった特徴的なファサードを取り戻しました。最大限にオリジナル部分を残しつつも現代的な新しさが取り入れられている様子を見ることができます。
・三木楽器開成館

船場エクセルビルから徒歩3分ほどの場所に三木楽器開成館があります。この建物は1924年に建てられました。その後戦火を逃れた建物であり、外観の重厚なレンガスタイルや豪華な装飾、室内のステンドグラスや大理石の階段は当時のまま残されています。ドイツ・スタインウェイ社の本社社屋を参考にしたデザインで、大正時代の近代建築を存分に感じられる趣ある建物です。1997年に国の登録有形文化財に登録されています。
・大阪農林会館

船場エクセルビルから南に徒歩5分ほどの場所に建っているのが大阪農林会館です。この建物は1930年(昭和5年)に三菱商事大阪支店として建てられました。装飾は少ないですが、大きなガラス窓が特徴的で目を引きます。外観・内装ともにレトロな雰囲気が残されており、モダン建築の魅力を味わうことができます。2021年10月に国の登録有形文化財に登録されています。
現在は、多くのテナントが入った商業ビルとして活用されており、ショッピングやグルメを楽しむことができます。
・北浜周辺

また、船場エクセルビルから少し足をのばした北浜周辺では、北浜レトロビルヂングや大阪証券取引所ビルなど数多くのレトロ建築を楽しむことができます。こちらも訪れてみてはいかがでしょうか?
おわりに
船場エクセルビルで開催中の「Re: Human ─ 新しい人間の条件」展を中心に、船場のまちの魅力を紹介しました。
歴史が息づく船場のまちで、芸術を通じて「これから」を考える。アートと日常が交差する体験をぜひ味わってみてください。街歩きとともに芸術祭を楽しんでみませんか?
(執筆=吉川真央)
