鳥取県立美術館がついに開館!新しいアートの聖地で心揺さぶられる体験を
- Haruka Shimomura
- 3月31日
- 読了時間: 6分
更新日:6 日前

2025年3月30日(日)、鳥取県倉吉市に「鳥取県立美術館」が開館します。鳥取県立美術館は、ほぼ日本最後発の県立美術館。(「ほぼ」は「県立美術館」という言葉にいろいろな捉え方があることによる。)約10年の準備期間を経てようやくオープンする地元の美術館に、周辺住民から大きな注目が集まっています。
今回は、鳥取県立美術館の概要や、開館記念展「ART OF THE REAL -アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術―若冲からウォーホル、リヒターへ―」の詳細についてなどご紹介します。
鳥取県立美術館は、都会の喧騒を離れて静かな場所でアートに没頭したい方にもうってつけの美術館。ぜひ最後まで読んでその魅力に触れてみてください。
(取材・文:山本 知恵)
鳥取県立美術館の魅力
槇総合計画事務所が手がけた開放的なデザインの建物


「OPENNESS!(オープンネス)」の理念に基づき、開かれた美術館を目指す鳥取県立美術館。それを視覚的にも表現しているのがその建物です。
3階まで吹き抜けの「ひろま」や小さな子ども連れでもくつろげる「キッズスペース」は、陽光がさんさんと入ってくる開放的な空間。さらにミュージアムカフェやショップ、展望テラスなどはチケットがなくても気軽に訪れることが可能な開かれたスペースとなっています。
設計は、京都国立近代美術館を手がけた槇総合計画事務所が手がけています。事務所を率いた日本建築界の巨匠・槇文彦氏は、2024年6月に逝去されました。そのため、鳥取県立美術館は槇氏がかかわった最後の大型美術館ともいえるでしょう。
郷土ゆかりの作家の作品や国内外の優れた美術を幅広く所蔵
近代洋画界に大きな足跡を残した鬼才・前田寛治(鳥取県東伯郡北条町(現・北栄町)生まれ)や、彫刻の世界に新たな領域を開き名声を博した辻晉堂(鳥取県日野郡二部村(現・西伯郡伯耆町)生まれ)など、郷土ゆかりの作家の作品を積極的に収集しています。
そのほか「江戸絵画の多様性を示す優れた作品」「近代(明治~戦前)における各分野の参照点となる優れた作品」「戦後の美術・文化の流れを示す優れた作品」も幅広くコレクション。
ギュスターヴ・クールベの《まどろむ女(習作)》や、佐伯祐三の《オーヴェールの教会》、開館記念展でも展示されるアンディ ・ ウォーホルの《ブリロの箱》などを所蔵しています。
開館記念展「ART OF THE REAL アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術」
2025年3月30日(日)から6月15日(日)にかけて、鳥取県立美術館で開館記念展「ART OF THE REAL アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術―若冲からウォーホル、リヒターへ―」が開催されます。
第一章 迫真と本質
第二章 写実を超える
第三章 日常と生活
第四章 物質と物体
第五章 事件と記録
第六章 身体という現実
エピローグ
以上7つのセクションで構成される本展覧会。見えるままの「リアル」ではなく、絵画において可能な「リアル」、合理性の背後に広がる「リアル」を超えた光景、奇抜で誇張された「リアル」、あるいは日常や生活の中の「リアル」など、「リアル」をキーワードとして作品を読み解きます。
アンディ ・ ウォーホルの《ブリロの箱》のほか、伊藤若冲の《象と鯨図屏風》(MIHO MUSEUM蔵)、ゲルハルト・リヒター の《抽象絵画(648-1)》(国立国際美術館蔵)など、江戸絵画から現代美術、国内外のさまざまな作家によって制作された約 180点の作品が一堂に会します。
第五章で展示される森村泰昌《Brothers (A Late Autumn Prayer)》(鳥取県立美術館所蔵)について館長・尾﨑信一郎さんにお話を伺ったところ、この作品はジャン=フランソワ・ミレーの《晩鐘》からインスピレーションを得て制作された作品なのだそうです。
戦争への憎しみや悲惨さが象徴的に描かれています。鑑賞の際には《晩鐘》と同じ構図になっていることにも注目してみてください。
展覧会詳細は鳥取県立美術館公式サイトよりご確認ください。
ミュージアムカフェやミュージアムショップも必見

鳥取県立美術館には、アート鑑賞を楽しんだ後に一息つけるミュージアムカフェ「GARDEN By SEVENDAYS CAFE」も併設されています。外光がふんだんに射し込むカフェで、美術館の周囲の自然を感じながら、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか?
開館記念展「ART OF THE REAL」にちなんだ限定コラボメニューも販売。展覧会タイトルの頭に「T」をつけた「TART OF THE REAL(本物のタルト)」は、その名の通りシンプルな素材の味わいが伝わる王道のチーズタルトです。とろっとしたチーズの香ばしさや、タルトのサクサク感をぜひ味わってみてください。

ミュージアムショップでは鳥取県立美術館のシンボルマークや所蔵品にまつわるユニークなグッズを取り揃えています。なかでも興味をそそるのが《ブリロ・ボックス》キャンディ缶!ウォーホルの作品から抜け出してきたかのようなカラフルな配色が目を引きます。
美術館に訪れた際には、ぜひミュージアムショップにも足を運んでみてください。
ほかにも鳥取県の民藝・工芸品や県内福祉施設でつくられたアートグッズ、「異彩を、放て。」 をミッションとするクリエイティブカンパニー・ヘラルボニーの作品も取り扱っています。
鳥取県立美術館で新たなアート体験を


「OPENNESS!(オープンネス)」の理念に基づき、開かれた美術館を目指す鳥取県立美術館。開館したあかつきには「アート・ラーニング・ラボ(A.L.L.)」などの活動を通じて、美術教育や県民との交流にも力を入れていく予定です。
開館記念展の後には、鳥取県出身の漫画家・水木しげるを取り上げた「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」や、「The 花鳥画―日本美術といきものたち―」「CONNEXIONS | コネクションズ ―接続するアーティストたちー」といった企画展を開催。
都会の喧騒から離れてアートの深みに触れてみたい方は、ぜひ足を運んでみてください。
美術館名称 | 鳥取県立美術館 |
住所 | 〒682-0816 鳥取県倉吉市駄経寺町2-3-12 |
最寄り駅からの アクセス | 【JR倉吉駅から】 ・バスで県立美術館前停留所(3月29日に新設)下車すぐ、または倉吉パークスクエア北口停留所下車、徒歩3分 ・タクシーで約9分
【車で来館の場合】 ・岡山、広島方面 米子道湯原ICから約50分 ・大阪方面 院庄ICから約1時間 |
開館時間 | 9:00 ~ 17:00(入館は16:30まで)
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休館日 | 月曜日、年末年始(12月29日~翌年1月3日)ほか
※月曜日が祝日の場合は翌平日を休館日とします。 ※休館日は変更となる場合があります。 |
料金 | 【企画展】 展覧会ごとに異なる
【コレクション展】 一般400円(団体320円)、学生・70歳以上200円、高校生以下無料
※障がいのある方、難病患者の方、要介護者等及びその介護者は無料 |
設備 | ファミリートイレ、多目的トイレ、エレベーター、エスカレーター、キッズスペース、授乳室、ロッカーあり
駐車場(110台)、駐輪場あり |
公式サイト |