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アントニー・ゴームリーの作品が醸し出す静けさ。大阪の街中で現代彫刻に接する

更新日:2月4日


Antony Gormley《ANOTHER TIME IV》(2007)

アントニ―・ゴームリ―(Antony Gormley 1950〜)は現代イギリスを代表する彫刻家。若くしてイ

ンド、スリランカの地で東洋の思想に触れ、その影響を色濃く受けた哲学的な作品を多く生み出しています。

国際的に高く評価されるアントニー・ゴームリ―の作品は、美術館のみでなく、パブリックアートとして世界各地に屋外展示されているのをご存じでしょうか。実は大阪の街中でもゴームリー氏のパブリックアートを鑑賞できるんです。





アントニー・ゴームリーについて

1950年、アントニー・ゴームリ―はロンドンの裕福な家庭に生まれます。1968年から1971年にかけてケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジで美術史、人類学、考古学などを幅広く学びました。


その後はインド、スリランカを3年かけて旅をしながら仏教を学んでいます。この南西アジアへの旅は、20代前半の若きアントニー・ゴームリ―にとって、ある種の転機とも言えるものでした。彼の作品には東洋思想の影響が色濃く感じられますが、当時の体験がもとになっていると考えてよいでしょう。旅行から帰ったのちにはロンドン大学のゴールドスミス・カレッジなどでさらに学びを深めています。


「身体は物体ではなく、我々が住む場所」と考え、自身の体を実験的に使った作品を通じて人間の存在について問いかけるアントニー・ゴームリ―。彼の彫刻は西洋彫刻に見られるような動的な作品よりも静的な作品が多いのが特徴です。



Antony Gormley《THREE PLACES》(1983)

出典WIKIART



Antony Gormley《FIELD II》(1989)

出典WIKIART



アントニー・ゴームリ―は個展に加え、世界中で行われるグループ展、ヴェネツィア・ビエンナーレやドクメンタといった国際美術展覧会にも多く出品し注目を集めてきました。さらに1994年にはターナー賞、1999年にはサウス・バンク賞(ビジュアル・アート部門)、2007年にはバーンハード・ヘイリガー賞(彫刻部門)といった数々の賞を受賞し、1997年には大英帝国勲章(OBE)も授与されています。


日本では2012年から2013年にかけて、神奈川県立近代美術館葉山館の《TWO TIMES―ふたつの時間》という2体の人体像を用いた屋外展示が行われ話題を集めました。2013年には高松宮殿下記念世界文化賞を彫刻部門で受賞しています。


そんなゴームリ―氏のパブリックアートが実は大阪にも数点存在します。国際的に評価される現代彫刻家の作品を大阪の街中で気軽に鑑賞できるなんて驚きですね。





大阪で巡る、アントニー・ゴームリーの彫刻作品

大阪で観られるアントニー・ゴームリ―のパブリック・アートを3点紹介します。いずれの作品も、都心のビル街や公共施設内など、つい通り過ぎてしまいそうな意外な場所に設置されています。



《MIND-BODY COLUMN》(梅田)

Antony Gormley《MIND-BODY COLUMN》(2000)

2001年、大阪梅田の高層ビルが立ち並ぶ一角に設置されたゴームリ―作品《MIND-BODY COLUMN》は、高さ15.24メートルに及ぶ鉄製のモニュメントです。大阪駅や梅田駅、福島駅からほど近く、ホテルモントレ大阪や大阪中央病院が立ち並ぶ街中の一角にあるため、目にしたことがある方も多いかもしれません。



Antony Gormley《MIND-BODY COLUMN》(2000)

身長193cmの自身の身体を象った造形を10体分積み上げ、さらにそれを背中合わせに組み合わせたこの彫刻は、ゴームリー氏にとって初となるタワー状の大作。地球の核の主成分である鉄を素材とすることで、直接的に「大地と人間の連続性」を伝えています。


さらに、背中合わせの2体が「過去と未来」を見つめている様子を上下に積み上げることで「人から人が生まれ発展していく様」を表しています。一切溶接を行わず、素材の収縮や膨張の原理を利用して強くはめ合わせた焼き嵌め(やきばめ)によって、全体を組み上げている点にも注目です。



Antony Gormley《MIND-BODY COLUMN》(2000)




《ANOTHER TIME IV》(淀屋橋)

Antony Gormley《ANOTHER TIME IV》(2007)

大阪淀屋橋にある《ANOTHER TIME IV》は2007年に制作され、2022年に設置されました。日本生命淀屋橋ビル B1にあるフレンチレストラン「ルポンドシエル(LE PONT DE CIEL)」の入口前で観ることができます。


本作も、ゴームリー氏自身の体を型取り制作した鋳鉄製彫刻です。静かに直立する人物像で、ゴームリ―氏の代表作の一つ《ANOTHER PLACE》シリーズ*と造形が似ています。


*イギリス・リヴァプール近郊の海岸線に、3kmにわたり全100体の人体像を設置した作品


Antony Gormley《ANOTHER PLACE》(1997)

出典WIKIART



台座を用いずに地上にそのまま設置されているため、生身の人間と対峙しているかのような近しい気持ちで鑑賞できるのがこの彫刻の面白いポイント。ビルの前でひっそりと佇む人物像。その表情や、胸、指先、背中、表面に生じたサビ。あなたはどのようなメッセージを受け取るでしょうか。






Antony Gormley《ANOTHER TIME IV》(2007)




《こちらとあちら HERE AND THERE》(和泉市)


Antony Gormley《こちらとあちら HERE AND THERE》(2002)

《こちらとあちら HERE AND THERE》は、大阪府南部・和泉市の大型公共施設「和泉シティプラザ」の敷地内に設置されています。コールテン鋳鉄でできた190cmの人型の彫刻が、10mのコールテン鋼製ポールの上に乗せられていますが、地上からは少し見えにくいかもしれません。少し高い位置から鑑賞すると、地上10mのところでやや所在なさげに佇む人影が目に映るでしょう。

ゴームリ―氏は本作について「身体がかつてあった場所、身体がかつて占めていた空間、だれの身体でもあり得る空間、わたしの身体でもあなたの身体でもある身体」「世界と無限の空間が互いに行き来する場所を見つめている」と述べています。

「和泉・久保惣ミュージアムタウン」と呼ばれるこの一帯では、街歩きをしながら多彩なアート作品を楽しむことができます。《こちらとあちら HERE AND THERE》の近くには、ほかの作家のパブリックアートもたくさんあるので探してみてくださいね。





その視線の先に、あなたは何を見る?

アントニー・ゴームリ―の作品は形状もサイズも多様ですが、いずれもどこか神秘的な静けさを放ち、哲学的な思想が秘められています。そこに何を読み取るかはあなた次第。ぜひ、ゆっくりと作品と対峙し、心身の変容を感じてみてください。「身体は物体ではなく、我々が住む場所」「だれの身体でもあり得る空間、わたしの身体でもあなたの身体でもある」という彼自身の言葉をふまえると、その彫刻の中に入り込んだつもりになって同じ目線から同じ風景を見てみるのも、彼の作品の楽しみ方の一つと言えるかもしれません。


《EVENT HORIZON》Antony Gormley(2007)

出典WIKIART





基本情報


《MIND-BODY COLUMN》

住所

大阪府大阪市北区梅田3-3/JR大阪駅西側の中央広場

最寄駅からのアクセス

JR「大阪」駅、Osaka Metro「西梅田」駅、JR・阪神線「福島」駅から徒歩5分程度


《ANOTHER TIME IV》

住所

大阪市中央区北浜3-5-29/日本生命淀屋橋ビル B1

最寄駅からのアクセス

Osaka Metro「淀屋橋」駅、淀屋橋バス停から徒歩1分程度


《こちらとあちら HERE AND THERE》

住所

大阪府和泉市いぶき野五丁目4番7号

最寄駅からのアクセス

泉北高速鉄道「和泉中央」駅より徒歩約3分

電話番号

0725-57-6660

Webサイト

開館時間

【弥生の風ホール/生涯学習センター】9:00~22:00

【図書館】月曜日~木曜日9:30~21:00/土曜日・日曜日・祝日9:00~20:00

【モアいずみ】窓口業務 9:00~17:15/研修室 9:00~22:00

【保健福祉センター】窓口業務 9:00~17:15/貸施設 9:00~22:00

休館日

施設により異なる(年末年始は共通して休み)


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